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2024.01.29 15:52

電気自動車の問題&SLIM再始動

みつのえ たつ
・電気自動車についてちょっと書いたつもりだったのに消えてしまった。なぜだろう。
・電気自動車の問題は色々指摘されているけど、バッテリーや急速充電ができるようになれば解決するかのように語られることが多い。でも、そもそも「充電」という点についてはあまり触れられていないようだ。
・動力としてのモーターは速度0から自力で回転し始められるし、低速トルクは大きいし、細かな制御もやりやすいし、電力回生もできるということで実に便利なのだけど、電力を「充電」に頼るのはいささか厳しいだろう。
・日本の総発電能力は東電のサイトにある情報から、10社合計でも2億kW程度。もちろん、これはすべての設備がフル稼働したときの話である。
・一方、消費電力のピークはというと、2023年の1月のデータで朝と夕方にピークがあるというM字カーブになっていて、ピークは1億6000万kWくらい。すべてを電気自動車にするとか言い出すと、ここに充電のための電力を足さなくてはならない。このときの深夜になって消費電力が下がったときでも1億2000万kW程度なので、あまり劇的には減っていない。
・これまた公開データで、日本の乗用車の台数は概ね6000万台程度で乗用車の平均走行距離は1万キロ程度、1日平均で30km程度なので、電気自動の電費を6km/kWhとすると、だいたい5kWh程度を充電することになる。つまり、毎日平均で3億kWh程度を充電に使われるということ。
・これをどのくらいの時間帯分散して充電するかということになるわけだけど、仮に2/3程度が自宅充電するとすると、夕方から朝にかけて2億kWh。これを深夜の5時間くらいにきれいに分散してくれてもこの間4000万kWの電力が必要ということで、夕方のピークがずっと夜間も続くくらいになってしまう。
・実際には家庭の充電器でそんなに都合の良い時間に都合よく分散して充電はしてくれないだろう。だいたい4kWとか6kWの充電設備で、帰宅してから充電開始のはず。すると、たとえば6台に1台、1000万台がこのような使い方をしたとすると、4000万kWとか6000万kW。2000万台なら8000万kWとか1億2000万kWもの消費電力が上積みされることになる。
・連休などで「お出かけ前充電」や「帰宅後充電」が一斉に行われると、更に上積みされる可能性は十分に考えられる。

・本気で電気自動車の比率を大幅に上げるというなら、電力逼迫時には送電を担っているところからリモートで電気自動車の充電設備をON/OFFしたり、最大供給電力を制御するなどの仕組みを今から設けておかないと大規模停電なんていうことになりかねないのではないだろうか。

・そんなところで、背中を西に向けて三点倒立したSLIMの背中に陽が当たりだして、再起動したらしい。分光カメラも無事に動いたようで、着陸姿勢がユニークなことになったことを除けば目的としたミッションはほぼすべて実現できたということになるのではないだろうかな。
・そういえば、LV-1について、マスメディアなどからあまりお褒めの言葉が出てこないのがちょっと残念。失敗すれば何日も叩いたり、その後も折につけてケチをつけるのに、成功についてはサラッと報道したあとはスルーというのは、どういう了見なのだろうな。